先日、JFMA(日本フローラルマーケティング協会)主催のセミナーに参加してきました。
気軽な気持ちで参加したセミナーでしたが、そうそうたるメンバーに圧巻されました。私、場違い?
でも、どうしても参加したかったのは、プラントハンターの西畠清順さんの講演があったから!圧倒されっぱなしでした。
★植物をいかす「生かす・活かす」★
植物は人種や性別、年齢、そして国という枠をこえて世界で最も人類が共有しているもの。その事例はニュースや書籍、情熱大陸などメディアを通して知ってはいたけれど、ご本人の口からきくとまた違ったものでした。
私たちの切花産業は植物を切るので、植物を殺すところから始まる産業ではあるけれど、植物を活かすことのできる産業でもある。
たとえば、スペインでは大きくなりすぎたオリーブはほとんどが廃材になってしまうそうです。そんな直径10メートルはありそうな幹のオリーブはいまではオリーブで町おこしをしている小豆島のシンボルツリーになっています。
現地や人を活かすことができるのが植物だとおっしゃっていました。そういった植物のストーリーを何よりも大切にしている方です。
日本に需要のあるものを海外から輸入し、日本で需要のないものを海外へ輸出することでより植物を活かすことを実践している方でした。
★巴投げ★
いろんな分野と掛け算ができるのが植物の魅力でもあると西畠さんはいいます。だって、植物の歴史は4億5万年前からあって、どんな産業の礎には必ず植物があるのだから。
そんな植物ですが、今の時代は企業が動かなければ植物は広まりません。
「植物は人を集めまっせ。」
「植物はいいPRになりまっせ。」
「植物はメディアを呼びニュースとしてとりあげられまっせ。」
「植物だって数字はとれるんでっせ。」
「植物がなきゃはじまらないでしょう!」
くさいと反対されれば、
「お前の〇〇のほうがくさいやろが!くさいのは人間と同じで植物の生理現象なんですよ」
などと、暴言ギリギリの言葉を用いてでも企業を口説き落とすプレゼン力に秀でているのが西畠さんなんだと思いました。植物の持っている力で説得もするけどデータや天然で攻め落とすのも植物を広めるための手段の一つ。あの風貌や話し方からは自由奔放そうに見えますが、かなり緻密な方です。
また、自分は卸であってアーティストでもなければデザイナーでもない。そういうのはプロに発注しどんなプロジェクトもコラボをするようにしている。そして、コラボレーションアピールをして「共存」していけることを伝えることを欠かさないといいます。
それは柔道の巴投げと一緒で、需要があってなりたち、相手の力で投げ飛ばす。それは双方にとってひとつの力となって世に投げ放たれるのです。なので、自分からは絶対に仕事はとりにいかないことも信念の一つだとおっしゃっていました。
巴投げが神髄。
★「体験」ほど説得力のあるものはない★
どんなプロジェクトでも体験してもらうほど強烈に人の心に植物が植わるとおっしゃいます。一番説得力があると。それは今回の講演も同じだと思いました。本やメディアで知るよりも、西畠さんの話を生で体験するほど説得力のあるものはないと実感しました。
花や植物も同じで、実際に来ても触ってみてもらえれば植物の魅力は必ず伝わる。そういった植物の魅力に出会えるようなあらゆる植物事業を日々推進し、サポートしていくことを続けていきたいとのことです。
植物があるところに人は集まり、人を動かす力があるということを他業種を巻き込み、世に広めていっている方の言葉はたくさんのヒントをもらえた時間でした。また、公言されている通り、心の底から植物が大好きなことが伝わってきました。植物の魅力を最大限引き出すプレゼンは圧倒でした。
私たちは産地さんが大切に育てた花や植物を依頼のあるお客様に届けている仕事を生業としていますが、その届ける花達のストーリーを伝える立場にあること、そしてその花がより輝くためにクライアントに届けることをもっと追究していけるのではないかとも思いましたし、私たちが表舞台にはでることはありませんが、そうやって届けた花たちがクライアントの手でより一層輝き、その花や植物たちがたくさんの人に見てもらえる仕事だということに誇りを持って、より多くの方々に植物を届けていければなと思いました。

