今日は久しぶりに太陽が!地面から湯気が出るほど気温が上がってきました。お盆前、みなさん体調には十分にお気を付け下さい!
さて、前回ご紹介した大佐和さんのアンスリウムと同じ日に、房総半島先端の西岬に位置する個選産地のヤマキ花卉園さんのヒマワリを見てきました。
「ヤマキ」というのは昔からの屋号だそうで、作っている方は山田さんとおっしゃいます。2代目が以前弊社で研修をしていたこともあり顔なじみ。まだ20代の青年ですが、ヒマワリに対するアツイ思いはしっかりともって生産に取り組んでいらっしゃいました。
↓山田君

先ずは作業場から。
陽が昇る頃から花を切り始め、この作業場に運ばれます。朝早い時間に切る事には理由がちゃんとあって、遅い時間に切ると花がしおれてしまう事が多いからだそうです。

そしてこの作業場で下処理と選別が行われ、エルフ(水に付けた状態)にて出荷されます。

切り前は結構固めです。その方が花もちがいいそうです。でもこんなに硬くて、開いたときの花の大きさが解るの?そこはさすがプロ、葉の大きさで大体の大きさは目安が付くという事です。
ここでいいヒマワリの見極め方を教わりました。
「葉が小さく葉の色が薄い、茎の硬いもの」
葉が小さく色が薄い・・・普通に考えたらこれって生育不良なんじゃと避けて通るところですが、ヒマワリは違います!栄養を沢山吸ったヒマワリは茎が柔らかく花首が垂れてしまいます。つまり、ヒマワリは肥料が少なければ少ないほどしっかりしたものが育つということです。ヤマキさんのこだわりは花もちと花は上向きってこと!それを実現する最高の場所が西岬なんです。
と、いうのも、西岬はすぐそこが海岸という事もあり、土壌が砂地。砂地であることで余分な栄養が下に流れていくのでヒマワリは余計な栄養を取らずに済み、花は上を向き茎も硬くもちのいいヒマワリが育ちます。約3000坪中2000坪が砂地でヒマワリを育てています。砂地ではサンリッチオレンジ、のこり1000坪の土壌には八重品種やイエローなど品種を選んで作付をしています。

安定した出荷をするため、タネまきは3日ごとにしています。同じラインでも成長に差が出てきています。真ん中あたりがこんもりしているのがわかりますか?普通に考えたらこのこんもりしている生育が良い方がいいヒマワリになるのかと思いきや、このこんもりした所は葉も大きく色も濃い。つまり栄養を吸い過ぎて成長が早い為、茎が柔らかく花首が垂れてしまう可能性が高い。両端の背が低い苗の方がしっかりとしたヒマワリに育ちます。
豊橋農協のトレ―での栽培も根を張らせないための工夫だったんですね!

山田さんは作付品種もほとんどが直径8cmのサンリッチ系です。西岬は7月以降、とても暑くなります。ヴィンセントシリーズは丈は出るけど、暑さで花が反り返り易いという性質がある為、山田さんはサンリッチをメインに育てていらっしゃいます。ヴィンセントの方が色は濃いのですが、西岬という暑い場所での生産で品質が安定したものを出荷したいという事でサンリッチを育てています。
出荷品種は9品種。
サンリッチオレンジ
サンリッチレモン
サンリッチフレッシュオレンジ
サンリッチフレッシュレモン
バレンシア
東北八重
レモンエクレア
パナッシェ
テディベア
また、7月以降に出荷されるヒマワリは名前の後ろに「45」という数字のつく品種。この数字は種まきから花が咲くまでの日数のこと。西岬は暑いので夏場はこの「45」に切りかわります。

↑サラサラの砂の植わっていたヒマワリ。了承を得て採花後の苗を引っこ抜かせて頂きました。根が浅い。つまり、丈夫なひまわり!なんかヒマワリって見た目と同じく屈強な子!まさにヒマワリって人に元気や勇気を与えてくれる存在ですね!

↑ハウスだけでなく露地栽培もしています。これはサンリッチフレッシュオレンジ。雨が続き、雨にぬれた咲いたヒマワリはシミが出てしまうので捨ててしまいます。と、いうことで山田君が粋な計らいをしてくれました。「どうせ捨ててしまうだけなので、咲いてしまったひまわりは好きなだけ持ってってください!」
まじで!?

弊社のおちび達はうもれていました。
切り方をレクチャーしてくれました。鎌は柄の長い菊用の鎌を使います。

しどろもどろ。

おっしゃるとおり、よくみると花弁にしみが。

さて、ここでヒマワリのマメ知識を。
「パナッシェ」と「ゴッホ」、そして「モネ」と「レモネード」という人気の高い八重品種、とても良く似ていませんか?見極めができますか?
コレできる人、ほとんどいないと思います。でも、出来なくて当然なんです。じつは同じもの。呼び方が違うだけなんです。「ゴッホ」や「モネ」という言葉の有効期限が過ぎて、だれかが「パナッシェ」、「レモネード」と呼んだことからこのような紛らわしい事になったという裏話でした(笑)。

↑パナッシェ
「ひまわりはおおきくすることは簡単。なので小さい物を狙って作れる産地さんはしっかりしたものを出している産地さんだと思う。」とおっしゃっていました。南房総という暑い土地で難しいヴィンセントシリーズにこだわりを持って作っている金井さんや、とても大きいヒマワリなのに茎が固い物を作る印西の大野さん、砂地でない事で何手間も必要とする豊橋や北海道などの他産地さん達など多くの諸先輩方を尊敬し、本当に皆さんスゴイとおっしゃっていました。
ヒマワリはどのヒマワリもぱっとみ大差があまりないので、お客様が選ぶポイントはやっぱりブランド力が大きいとおっしゃっていました。
「お客様から「とても良く持ったよ」と選んで貰える産地になれるように頑張ります!」
最後に、ヒマワリのプロが教えてくれるヒマワリの管理方法をご紹介します!
ヒマワリは浅水が良いという理由は、ヒマワリが茎が腐り易い為、水につかっていた部分をどんどん切り戻すため。なので水替えをするごとに水につかっていた部分は切り落として室内の冷房の直接当たらない涼しいところでの管理をすると長く楽しめます。ヒマワリは暑くても大丈夫!と思われがちですが、7,8月の暑さはやっぱり苦手です。ご注意を!