金曜の嵐とはうって変わって、とてもいいお天気の土曜日、茨城県稲敷市でフリージアを生産されている竜ヶ崎花卉組合に属する山中園芸さんのハウスを見学させていただきました~
と、その前にフリージアというお花について事前知識を。
フリージアの原種は約11品種あるといわれ、アフリカ大陸のみにしか存在しないとても小さなグループの花です。フリージアの多くは球根と同様に種子繁殖と栄養繁殖により過酷な環境をいきのび、その多くは南アフリカでも冬湿潤地域に集中しています。また、近くに異品種がないため、交雑することもなく純潔を守り今でも南アフリカで長い年月を生き延びています。
アフリカの原野で小さく可憐に咲いていた花はオランダで品種改良が進められ、背丈も花も原種からは想像もできないほどボリュームのあるものとなりました。それもそのはず、オランダでのフリージア単価は重いほど値がつくからです。
現在オランダでは約150以上の品種があるといわれていますが、その多くが生まれてから約7年で消えて行ってしまうそうです。その理由はフリージアが非常にウイルスに弱い為です。ピンクや紫、赤などが黄色や白などに比べてあまり見かけないのは、この色合いが特に病気に弱く、生産するにはリスクが大きくなってしまう為に生産をやめていってしまう人が多いからです。
と、いうことで、山中さんのハウスへ戻りましょう!右の男性が山中さん。山中園芸では約1500坪に21棟のハウスで約70万球のフリージアをご家族とパートさんを含む約7名で育てています。
①ハウスの様子と出荷までのながれ。
山中園芸のハウスはお日様の光をしっかりと当てる為に1枚張り。そのため、燃料費は多くかかってしまうけど、フリージアにストレスがなく育ってもらう為になるべく路地に近い環境にするようにしているそうです。
このあたりはもともと海だった土地の為、地下水が塩分を含んでいてあまり良くないのだそうです。なので、オランダに習い、貯水タンクを作り、雨水をためてそれを使っています。雨が降らなければ雨乞いっ!
そして、一番需要がある50~55cmにするために水やりを調整します。出荷目前のものは水やりを控え、枝に水を吸い上げる力を付けさせます。そうすることで花持ちのいい状態で出荷しています。
また、採花は手で引っこ抜き、はさみは一切使いません。それを経験させてもらいました。
球根を残し、茎だけ引っこ抜くということですが、これがなかなかうまくいかない。球根まで抜けて来ちゃう。これはもう経験だそうです。球根を残すのは、球根を2年使うからだそうです。
上の写真のように、一番花が下についてしまうものや、茎がくるくるしたものも出てしまいます。これは冷蔵処理がうまくいかなかったりするとでてきてしまうそうです。こういったものは出荷はしません。ですが、実はお花の力はとても強いんだって。踊り丹頂などがあるくらいなので、踊りフリージアとして出荷があっても面白いんじゃないかなって少し思いました。
そして、はさみを使わない一番の理由は切り口からウイルスの侵入を防ぐ為。先にもいったように、フリージアは病気になりやすい植物。その多くが樹液感染の為、採花の際ははさみを使わないのだそうです。だから、一球1本しか取れません。
出荷は多いときで一日約6万5000本にもなります。そして選別をするのは奥様担当。
選別機に入れる時に残った球根を取りながら花の状態をみて選別し、サイズを分ける選別機へと流していきます。
こちらも経験させていただきましたが、機械が意外と速い!奥様のようにはとてもじゃないけどできません。一人で一日1万本をこなすプロの力を肌で味わいました!
②フリージアへの思い。
花びらはラメが入りキラキラ♪
2代目智さんは先代の跡を継いで17~8年になります。山中さんは県などの組織には属せず、竜ケ崎花卉組合のみに属しています。組合は8件からなり、そのなかで一番若手になるのが山中さんです。メンバーの中にはで脱サラをしてフリージア生産をしている方もいるそうです!この方にも色々お話聞きたいなぁ!
話がそれました。
組合は竜ケ崎と名がつきますが範囲は広く、稲敷市の山中さんをはじめ、じつは私の住んでいる千葉県印西市にも組合員の方がいるそうです。組合員全員で、作付品種や細かいところまで話し合い、出荷期間である11月から4月上旬まで円滑に出荷できるようにしています。
段ボールを黒板にして詳しく図解までしてくれました。
フリージアは季咲と促成栽培で育てられています。。
季咲きとは簡単に言えば自然に近い環境で咲かせること。カタログ通りに咲くのはやっぱりこの方法。
でも、季咲きだと、需要のある12月や1月にはフリージアが間に合いません。そこで促成栽培の出番です。
ゴールデンウィーク明け位に球根を彫り上げたらすぐに30~35℃で約40日高温処理をして夏を体感させます。すると球根は夏だと勘違いして休眠から目覚めます。しかしながら、高温処理だけでは完全に目覚めてくれないので、さらに燻煙処理を一日5h×3日ほど行います。そうすることで完全に休眠打破します。
ここまでが球根会社のお仕事。そしてここからが生産者さんの出番。
7月に球根を購入しすぐに低温処理し冬を体感させ、花芽を作り出します。この低温処理の際のベースとなる温度や期間はその年ごとに異なり、組合員全員で話し合って決めるのだそうです。この低温処理が花の品質を決める一番大事なところで一番難しいところなのだそうです。
このように人工的に季節を早め、球根に季節を勘違いさせることで、冬場の出荷を可能にしています。
フリージアは年末に欠かせないお花ですが、本来は冬のお花じゃないんですね~!もう冬に出てくるのが当たり前になっていますが、その当たり前を作っているのは生産者さんの努力のたまものなんですね。
19~20才のころからフリージアを育てているけど、ようやくフリージアのことがわかってきたと山中さんはおっしゃいます。うまくいったからと次の年も同じようにやると、不思議とフリージアたちは花の力がなくなってくるのだそうです。なので山中さんはいろいろ試しながら、より良い方法を常に探しています。
考えれば考える程、親父たちの凄さが分かってきた。目指すのは花の100%の力がでている季咲きの状態。そこを目指して一生やっていくんだと思う。とお話してくださいました。
そして、現在、フリージアはウイルスに弱い為、出荷品種は作りやすい品種に偏っているという事実も。しかしながら、もっとフリージアの品種を選んでもらいたい!
今出回っている八重咲きの品種は山中さんが導入したものも多くあります。まずは自分が挑戦し組合全体に広め、球根会社はもちろん、他県やお客さんとも連携をして、今後もどんどんフリージアを広めていきたい!と、力強くおっしゃっていました。
そして、山中さんはフリージアの後はひまわりとセッカケイトを作っていらっしゃいます。ここでなじみのある名前が!私のご近所生産者、大野重雄さんからセッカケイトウのタネをもらって作り始めたのだそうです。仕立ては大野さんのものと違いを出すために少し小ぶりに仕立てていらっしゃるそうです。夏も楽しみなネタができました♪
そして、講義とハウスを見せていただいた後、とんでもないご馳走を用意してくれていました!
釜で炊いたお赤飯!
豚汁~♪
末っ子の娘さんが配ってくれました♪
イチゴにはコンデンスミルクよりあんこがお勧めです!
他にも、地産のお野菜で作った酢の物やお漬物、小豆を炊いたものやイチゴまで!ぜーーんぶおいしかったです♪新鮮なお野菜、これは農家さんならではの特権ですね♪ほんとにうらやましい!お土産も沢山頂いてしまい、恐縮です!
最後に集合写真♪
本当にたくさんのお話と沢山ご馳走、ありがとうございました!私個人は家が近いので、宴会にはぜひとも参加させてくださ~い♪ジョークじゃなく、本当にいっちゃうのでご覚悟を!(苦笑)
頂いたフリージア、満開です!こんなにどっちゃり活けることなんて無いから美しさに圧倒されました!
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と、いうことで、長くなりましたが、
次回金曜日、店頭で竜ケ崎花卉組合さんのフリージアフェアを行います!蕾がつまって一列に並んだフリージアたちを定番品種から八重咲きや珍しい品種までご用意!ぜひとも足をとめて、キラキラ光る花たちをお手にとっていただければと思います!


















